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改良されたファブリー・ペローレーザーダイオードの電気的に駆動されたランダムレーザー発振
Nature Photonics 16, 3 doi: 10.1038/s41566-021-00946-0
ランダムレーザーは、撮像、センシング、超高分解能スペクトル分析、複雑ネットワーク工学の光源としての応用が有望な興味深いデバイスである。ランダムレーザーは、光学的にポンピングされた色素、光ファイバー、結晶や、電気的にポンピングされた半導体ヘテロ構造から得られ得る。半導体ランダムレーザーは、活性層に散乱欠陥を導入して作製されることが多く、作製過程がある程度複雑になり、不規則構造によって得られる可能性がある実現の容易さは失われる。費用のかかる作製方法を必要としない、電気的にポンピングされるランダムレーザーを容易に利用できれば、研究や応用におけるこうしたデバイスの利用が増えると思われる。今回我々は、市販のファブリー・ペローレーザーダイオードの出力ミラーを制御されたレーザーアブレーションで簡単に処理することによって、インコヒーレント半導体ランダムレーザーを実現した。処理していない後方ミラーとアブレーションした前方ミラーによる光フィードバックによって、空間コヒーレンスが低く角度パターン不規則な、マルチモードランダムレーザー発振が実現される。今回の結果は、ランダムレーザー分野の将来の革新的技術開発の原理証明となる。