ファンデルワールス反強磁性体における共振器増強線二色性

光複屈折は、光子のフィルタリングやビーム分割に広く用いられている結晶の基本的な光学特性である。複屈折結晶は、2つの異なる偏光の間で伝搬や減衰に差が生じる線二色性（LD）という特性も同時に示す。このLD特性は、小分子からポリマーや結晶までさまざまな物質で広く研究されているが、LDのオンデマンド操作はほとんど行われていない。今回我々は、ファンデルワールス反強磁性絶縁体FePS₃において新たに発見されたスピン電荷結合を用いて、大きな面内光学異方性と、その結果としてのLDを誘起した。我々は、この反強磁性絶縁体におけるLDが、スペクトル的にも、共振器結合の関数としての大きさの点でも、調整可能であることを報告する。我々は、共振器と結合したFePS₃結晶において可視から近赤外の領域で1に近いLDを実証するとともに、共振器の長さとFePS₃の厚さの関数として分散を導出している。今回の結果は、強相関量子物質の診断プローブとしての、共振器によって調整されるLDの利用に幅広い影響を及ぼすとともに、小型でオンチップのビームスプリッターやチューナブルフィルターに新たな機会をもたらす。