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多段階スピン交換オージェイオン化によって駆動される磁気ドープ量子ドットからの高効率光電子放出
Nature Photonics 16, 6 doi: 10.1038/s41566-022-00989-x
可視光励起下で光電子放出を示す物質は、光化学、フォトカソード、先進的電子ビーム源、電子顕微鏡法への応用に非常に興味深い。今回我々は、マンガンドープCdSeコロイド量子ドット(CQD)において、可視光パルスによる励起下で2段階オージェアップコンバージョンによって高効率光電子放出が可能になることを実証する。この効果は、励起マンガンイオンから固有のCQD励起子への極めて速いサブピコ秒オージェ型エネルギー移動によって可能になった。この過程はバンド内冷却より速いため、第一オージェ励起段階によって生成された高エネルギー「ホット」電子が、マンガンからCQDへのエネルギー移動段階をもう一度経て、効率的に外部「真空」状態へとさらに昇位し得る。このCQDイオン化経路は、スピン交換オージェ過程に伴う非常に高いアップヒルエネルギー利得速度を利用しており、非ドープCQDの場合より数桁高い3%を超える光電子放出効率が得られる。我々は、この現象を用いて内部量子効率が3%を超える溶媒和電子の高収率生成を実現でき、可視光駆動還元光化学に大いに役立つことを示す。