Letter
マイクロスケールのフォトニックセンサーによる室温でのナノケルビン分解能の温度測定
Nature Photonics 16, 6 doi: 10.1038/s41566-022-01011-0
超高分解能温度測定は、さまざまな電子デバイス、オプトエレクトロニクスデバイス、量子デバイスにおける散逸のプロービングだけでなく、バイオカロリメトリーや、センシングやイメージング向けの高感度ボロメトリーにおける将来の進展に不可欠である。この分野における最近の進歩にもかかわらず、室温でのマイクロスケールデバイスによる高分解能測定の実現は、依然として未解決の課題となっている。今回我々は、GaAsの吸収端における強い温度依存性光学特性を利用することによってこの目標を達成する、バンド端マイクロ温度計について報告する。具体的には、我々は、サスペンド型非対称ファブリーペロー共振器と波長安定化プローブレーザーを用いて、30 K−1を超えるサーモリフレクタンス係数を実証し、約60 nK Hz−1/2の温度測定ノイズフロアとバンド幅0.1 Hzにおいて100 nKを下回る温度分解能での測定を可能にした。今回報告した進展によって、高分解能小型温度計を必要とするカロリメトリーやボロメトリーにおける幅広い研究や応用が可能になると予想される。