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強誘電体を用いたマルチレベル不揮発性フォトニック位相シフター
Nature Photonics 16, 7 doi: 10.1038/s41566-022-01003-0
光学ドメインにおける未解決のコンピューティング問題に取り組むアプローチが強い推進力となって、この数年で、新しい種類のプログラマブル集積フォトニック回路が現れている。フォトニック・ニューロモルフィック・コンピューティングやフォトニック量子コンピューティングは、動作前や動作中に再構成される複雑なフォトニック回路において実装される光学システムの例である。しかし、再構成可能な高効率光ネットワーク・アーキテクチャーを可能にする主要な構成要素、すなわち不揮発性光位相シフターが、まだ欠けている。今回我々は、シリコン導波路とBaTiO3薄膜のモノリシック集積に基づく、シリコンフォトニクスに適合可能な不揮発性光位相シフター素子を実証する。我々は、電気的制御信号でBaTiO3の強誘電ドメインを操作することによって、吸収変化なしに不揮発性のアナログ光位相調整を実現した。我々は、非破壊的に光学読み出しが行われ、スイッチングエネルギーが4.6 pJと低い8レベルの長期安定フォトニックデバイスを実証する。今回の結果によって、集積フォトニクスのツールボックスに不揮発性アナログフォトニック素子が加わり、新世代の電力効率の高いプログラマブル・フォトニック回路が可能になる。