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ペロブスカイト単結晶の相乗的ひずみエンジニアリングによる非常に安定した高感度X線検出器と低バイアスの撮像およびモニタリング
Nature Photonics 16, 8 doi: 10.1038/s41566-022-01024-9
三次元金属ハロゲン化物ペロブスカイト(ABX3)単結晶は有望な次世代放射検出材料であるが、最先端のペロブスカイトX線検出器は、Aサイトカチオンとしてメチルアンモニウムを含んでいるため、動作安定性が制限されている。ホルムアミジニウム・セシウム合金化Aサイトカチオンを用いて安定性を向上させるこれまでの取り組みでは、トラップ密度が高いため検出性能が犠牲になることが多い。今回我々は、Aサイトに合金を組み込んでトラップ密度を減らし、Bサイトにドーパントを組み込んでAサイトの合金化によって生じた微小ひずみを解放する相乗的組成設計によって、この安定性と検出性能のトレードオフの解決に成功した。こうして我々は、安定性の優れた高性能ペロブスカイトX線検出器を開発している。今回のX線検出器は、1 V cm−1で(2.6 ± 0.1) × 104 μC Gyair −1 cm−2という高い感度と、7.09 nGyair s−1という非常に低い検出限界を示す。加えて、半年にわたる長期動作安定性と、最高125℃での優れた熱安定性を特徴としている。我々は、さらに、高品質X線撮像やモニタリング用の試作品を用いて、低バイアス携帯機器応用向けに今回のペロブスカイトX線検出器が有望であることを実証している。