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スピン選択的な強い光物質結合によって実現された単層半導体における巨大有効ゼーマン分裂
Nature Photonics 16, 9 doi: 10.1038/s41566-022-01025-8
光と二次元電子ガス(2DEG)の基本励起の強い結合は、純粋な物理学にも、今後のフォトニック・ナノテクノロジーの理解や発展にも基本的に重要である。今回我々は、単層半導体MoSe2における2DEGのスピン偏極と、ゼロ次元光マイクロ共振器によって改善された光–物質相互作用の関係を調べた。我々は、2DEGの著しいスピン感受性を見いだし、逆向きの光子ヘリシティーにおいてトリオン-ポラリトン形成の促進と抑制を同時に実現した。このことが、トリオン-ポラリトンの巨大有効バレー・ゼーマン分裂の観測につながり、g因子は20以上で、これは純粋なトリオンの分裂の5倍を超えている。さらに我々は、バレー特異的な強い光–物質結合領域の高非線形挙動に起因し、4 meVから10 meVを超えるポラリトンのゼーマン分裂の全光チューニングを可能にする、明確な有効光学非線形性を観測した。今回の実験結果は、多体励起子–電子相関に起因する巨大有効フォトニック非線形性を伴う単層半導体において、真の一方向性を示すトポロジカル相を操作する基礎を築くものである。