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量子相関人工空間におけるチップスケールシミュレーション
Nature Photonics 17, 10 doi: 10.1038/s41566-023-01236-7
量子系の効率的なシミュレーターは、量子コンピューター開発の取り組みにおける当初の目標の1つである。近年、フォトニクスにおける人工次元は、幾何学的次元性の制約がない潜在的に強力なシミュレーション方法として浮上している。今回我々は、動的に変調されたチップスケールのニオブ酸リチウムマイクロ共振器において生成され、コヒーレントに制御された広帯域量子周波数コムに基づく量子相関人工結晶(quantum-correlated synthetic crystal)を実証する。コムモードに固有の時間・周波数エンタングルメントによって、人工空間の次元性が大幅に拡張され、電気的制御によって調整できるほぼ400 × 400の大規模な人工格子が作られた。我々は、そうした系を用いて、エンタングル光子間の量子相関の変化を利用して一連のシミュレーションを実行でき、時間・周波数相関空間において量子ランダムウォーク、ブロッホ振動、多準位ラビ振動を実証した(5 × 5モードサブ空間で実証した)。今回のデバイスは、モノリシックナノフォトニックアーキテクチャーの単純さ、量子相関人工空間の高い次元性、オンチップコヒーレント制御を兼ね備えており、時間・周波数領域における大規模アナログ量子シミュレーションやコンピューテーションのチップスケールの実装への道を開く。