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正常分散マイクロ共振器における多色ソリトンパルス対
Nature Photonics 17, 11 doi: 10.1038/s41566-023-01257-2
ソリトンマイクロコムは、さまざまなコムシステムの小型化の促進に役立っている。こうしたコムは、異常分散共振器における短い時間的パルスの形成を通してモード同期する。今回我々は、結合した正常分散共振器におけるパルス対の形成を通してモード同期する、新しいマイクロコムを実証する。従来のマイクロコムとは異なり、このシステムのパルスは、単独では存在できず、対で位相同期し、それぞれの対におけるパルスの光学スペクトルが異なることを特徴としている。対ごとのモード同期様式は、複数のパルス対や2つを超えるリングに拡張され、位相同期状態を大きく制限する。結晶状態を含めて、多数のパルス対を持つ2リング(バイパータイト)や3リング(トライパータイト)状態が実証された。またパルス対は、循環スペクトル窓においても形成できる。我々は、固有の正常分散のためにこれまでブライトソリトンを生成していなかった超低損失Si3N4プラットフォームを用いて、そうした結果を得た。複数のリングにわたって多色パルスを生成できることは、マイクロコムの重要な新しい特徴である。それによって、全光型のソリトンバッファーやソリトンメモリーのコンセプトを、ソリトンの色に関してパルスを多重化し、空間的にアドレス可能な複数のストレージリングに拡張できる。また今回の結果から、トポロジカルフォトニクスや量子コムを研究する新しいプラットフォームも示唆される。