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HgSe–CdSeコア–シェル型コロイド量子ドットを用いたバンド内カスケード中赤外エレクトロルミネッセンス
Nature Photonics 17, 12 doi: 10.1038/s41566-023-01270-5
機械視覚や分子センシングには、高効率赤外光源が必要である。可視域では、コロイド量子ドットからのエレクトロルミネッセンスは、効率が高く、波長可変で、コスト効率がよい。このことが動機となって、赤外域で同じアプローチが用いられている。近赤外域におけるコロイド量子ドット発光ダイオードの性能が有望であるにもかかわらず、中赤外デバイスは、発光がはるかに弱いため量子効率が約0.1%である。さらに、こうしたデバイスはバンド間遷移にのみに頼っているため、材料候補が制限されている。今回我々は、コア–シェル型HgSe–CdSeコロイド量子ドットの伝導バンド内における1Se状態と1Pe状態の間のバンド内遷移を用いて、5 μmのエレクトロルミネッセンスを示す。得られた4.5%の量子効率は、市販のエピタキシャルカスケード量子井戸発光ダイオードの量子効率に近い。高い発光効率と電気的特性は、デバイスにかかるバイアスに駆動されて、電子が量子ドットから量子ドットへホッピングする際に、繰り返し1Peにトンネリングし1Seへと緩和される類似したカスケード過程を裏付けている。