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ゲルマニウムにおける場によって駆動される電荷ダイナミクス
Nature Photonics 17, 12 doi: 10.1038/s41566-023-01274-1
超高速時間スケールで物質中の電荷を励起し制御できることは、現在の情報伝送やデータ処理の限界を克服するための主要な要件である。このマイルストーンへの主な経路は、短い光パルスの使用に基づいて固体の電気光学的特性を操作することである。それにもかかわらず、極端な時間スケールで現れる解明困難な物理的機構が複雑で絡み合っていることが多いため、その正確な特定と見込まれる利用が阻まれている。今回我々は、アト秒過渡反射分光法を用いて単結晶ゲルマニウムにおける光駆動励起を調べている。我々は、光物質相互作用時に確認された複雑な状態は単純化モデルでは扱えず、トンネリング、バンドドレッシング、バンド内運動、多光子注入などの多様な現象に取り組むには、時間と逆格子空間における詳細な解析が必要であることを示す。単一光子吸収は、励起の早い段階で活性化し発展するが、二光子過程やトンネリング現象などの場によって駆動される現象は、ポンプパルスのピーク後すぐに最大効果に達する。今回の結果は、過去の観測に反して、場によって駆動される現象(すなわちバンド内遷移)は電荷注入を妨げる可能性があることを示唆しており、光–物質相互作用の背後にある多様な物理機構を深く理解せずに次世代ペタヘルツ情報技術を確立することは不可能であることを立証している。