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スターチ–ポリヨウ化物界面バッファー層によるペロブスカイト太陽電池の疲労挙動の改善

Nature Photonics 17, 12 doi: 10.1038/s41566-023-01287-w

ハロゲン化金属ペロブスカイト太陽電池は、光起電技術の革命につながると予想されている。しかし、ペロブスカイトは、柔らかいイオン格子に起因して外的刺激に敏感であり、ペロブスカイト系デバイスは、現実世界での応用においてサイクルストレス下で著しい疲労が起こる。材料劣化の準安定ダイナミクスに関する基本的理解が十分でないため、サイクル照射下でのデバイス疲労を軽減する効果的な手段が不足している。今回我々は、ペロブスカイト界面に、イオンマイグレーションを抑制し欠陥自己修復を促す二機能バッファー層としてスターチ–ポリヨウ化物超分子を導入した。改良型ペロブスカイト太陽電池は、42日間のサイクル動作(12時間/12時間の明暗サイクル)後も初期電力変換効率の98%を維持することで、安定性の向上を示した。またこのデバイスは、24.3%(認証23.9%)の電力変換効率と、外部量子効率が12.0%を超える強いエレクトロルミネッセンスも生み出した。今回の研究結果は、柔らかい格子を持つペロブスカイトなどの材料における劣化の準安定ダイナミクスを超分子化学によって調節する方法を明らかにしている。

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