Article
応答度の大きいツイストグラフェンヘテロ構造における超広帯域光伝導
Nature Photonics 17, 12 doi: 10.1038/s41566-023-01291-0
ハイパースペクトルイメージングでは、広帯域光検出の要求が非常に厳しくなりつつある。テルル化カドミウム水銀に基づく真性光伝導体アレイは、最も高感度かつ適切な技術となっているが、その光学スペクトルは、鋭い吸収端を持つ狭いスペクトル領域に制限され、動作が25 μm未満に限定される。今回我々は、ツイスト二重2層グラフェンヘテロ構造において、スペクトル領域2~100 μmにわたる大きな超広帯域光伝導(100 kHzの速度で内部量子効率約40%)を実証する。その大きな応答は、ツイスト分離(twist-decoupled)ヘテロ構造の独特な特性(純粋な結晶場誘起テラヘルツバンドギャップ、平行なフォトアクティブチャネル、サブ原子間隔の近接遮蔽ゲートとして機能するそれぞれの層による電子相互作用の層間遮蔽に起因する強い光伝導増強など)に起因している。今回の研究は、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)に適合しアレイ集積可能な真性赤外–テラヘルツ光伝導体のまれな例を実証するとともに、三次元に拡張可能なギャップドグラフェン光検出器を設計する実現可能な手段としてツイスト分離グラフェンヘテロ構造を提示している。