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散乱媒質を通した高利得かつ高速の波面整形
Nature Photonics 17, 4 doi: 10.1038/s41566-022-01142-4
波面整形(WFS)は、複雑な散乱媒質において光を制御し収束させる有望な手段として浮上しつつある。整形システムの速さ、補正波面のエネルギー利得、制御自由度は、特に高散乱性動的試料の場合、WFSの最も重要な基準となる。最近の進歩にもかかわらず、現行の方法にはこれらの基準にトレードオフがあるため、満足のいく性能が得られるのは1つまたは2つのみに限られる。今回我々は、高速、高エネルギー利得、高制御自由度を同時に実現するWFSについて報告する。光屈折結晶を用いたアナログ光位相共役と誘導放出光増幅を組み合わせることによって、今回の手法は、1に近い、すなわち従来のアナログ光位相共役と比べて3桁以上高いエネルギー利得を達成した。約106の制御モードで約10 μsという応答時間は、1モード当たり約0.01 nsの平均モード時間に相当し、これまでで最速クラスのWFSシステムの50倍以上の速さである。我々は、今回の手法が、フォトニクスにおける光拡散限界の克服に役立つとともに、WFS法を現実世界の応用に移行させると予想する。