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角度に依存しない狭帯域発光を示す高効率ポラリトン発光ダイオード

Nature Photonics 17, 5 doi: 10.1038/s41566-023-01164-6

高精細ディスプレイからセンサーまで、多くのオプトエレクトロニクスデバイスには、角度に依存しない狭帯域発光が必要である。しかし、有機物やペロブスカイトなど、エレクトロルミネッセンスデバイス用の新材料は、本質的に無秩序であるため、スペクトル幅が広い発光を示す。この発光と光共振を結合させることによって、線幅は狭くなるが、共振器の強い角度分散が継承される。分散のない励起子状態と狭帯域光微小共振器を強く結合させることによって、この問題を克服できる可能性があるが、その結果生じたポラリトンからの電気的に励起された発光は、効率の悪さが障害となることが多い。今回我々は、アシスタント強結合層を導入して消光によって生じる効率の損失を避けることによる、有機発光ダイオードからのポラリトンベースの発光という普遍概念を提示する。我々は、外部量子効率が最高10%で輝度が高い(5 Vで2万 cd m−2を超える)、赤色発光と緑色発光のスペクトル調整可能な狭帯域(半値全幅20 nm未満)ポラリトン有機発光ダイオードを実現した。我々は、共振器離調と結合強度を最適化することによって、分散が極めて小さい発光(傾斜角60°でスペクトルシフト10 nm未満)を達成した。今回の結果は、オンデマンド型ポラリトン発光に幅広い影響を及ぼすとともに、次世代オプトエレクトロニクス、特にディスプレイ技術に強い光物質結合が実際に適合することを実証している。

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