半導体スピンと識別不可能な光子の高速エンタングルメント
Nature Photonics 17, 7 doi: 10.1038/s41566-023-01186-0
複数の光子が互いにエンタングルした量子光状態である光子グラフ状態は、光量子技術の主要なリソースである。光子グラフ状態は、特に、誤り訂正された測定に基づく光量子コンピューティングや全光量子ネットワークの中核を成している。離散変数フレームワークにおけるこうした応用では、ノードが識別不可能な光子であるクラスター状態を高効率で生成する必要がある。そうした光子クラスター状態は、伝令付き単一光子源や確率的量子ゲートを用いて生成できるが、効率とスケーラビリティーに難点がある。スピン–光子エンタングルメントは、線形クラスター状態を決定論的に生成すると提案されている。初の実証結果は、半導体スピンを用いて得られ、高い光子識別不可能性が実現されており、ごく最近では、原子系を用いて、高い収集効率と記録的な長さが得られている。今回我々は、1つの半導体スピンと2つの識別不可能な光子からなる3粒子クラスター状態の効率的な生成について報告する。我々は、光共振器に挿入して効率的に光子を収集し、電気的に制御して高い識別不可能性を得るために半導体量子ドットを利用した。我々は、忠実度80 ± 4%の2粒子エンタングルメント、忠実度63 ± 5%の3粒子エンタングルメント、光子の識別不可能性88 ± 0.5%を実証する。この量子ドットプラットフォームによって高い動作速度が可能になったため、スピン–光子エンタングルメント速度はこれまでの最新の値を3桁、スピン–光子–光子エンタングルメント速度は2桁超えた。今回のシステムと実験スキームは、リソース効率の良い単純な実験構成を用いて制御されるモノリシックな固体デバイスであり、将来のスケーラブルな応用に非常に有望である。