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光子によって調節される電気化学ドーピングに基づく有機光電子シナプス
Nature Photonics 17, 7 doi: 10.1038/s41566-023-01232-x
光電子シナプス(optoelectronic synapse)は、視覚情報を感知し記憶できるため、将来の人工眼や視覚自動化に魅力的である。有機電界効果トランジスターは、柔軟性と生体適合性があるため、光電子シナプスデバイスに有望なプラットフォームである。しかし、チャネルと誘電体の界面で起こる電荷遮蔽効果によって、プログラム可能なマルチレベルメモリーの実装が阻まれている。今回我々は、電気化学トランジスターにおいて光子によって調節される電気化学ドーピングに基づくフォトニック有機シナプスを報告する。この有機シナプスでは、ドナーとアクセプターのヘテロ接合界面からなる光活性層へのイオン挿入を光によって操作できる。これによって、低動作電圧(<1 V)における高密度のマルチレベルコンダクタンス調節と、生物系におけるイオンフラックス駆動シナプス活動の模倣が可能になる。今回のデバイスは、さまざまな光信号を認識でき、ヒトの脳の学習過程を模倣できる。視覚情報の認知、処理、記憶の統合機能を利用することによって、単層シナプスアレイは、複雑な人工ニューラルネットワークを用いずに顔認識できる人工網膜として機能する。