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シンチレーティング多孔性金属有機構造体による放射性ガスの高効率検出
Nature Photonics 17, 8 doi: 10.1038/s41566-023-01211-2
ラドン同位体、キセノン同位体、水素同位体、クリプトン同位体などの天然や人為的起源のガス状放射性核種は、監視され、病原因子、放射性診断薬、放射性指示薬として管理されなければならない。液体シンチレーターに基づく最先端の検出器は、調製に労力を要するとともに、気体の溶解度が低く、測定精度に影響を及ぼしている。実際の課題は、放射性ガスの濃縮と効率的な可視光生成が同時にできるとともに高い感度を示す固体シンチレーティング物質を探すことである。金属有機構造体(MOF)におけるシンチレーティング構成要素の使用と高い多孔性の組み合わせは、こうした要件を満たす可能性をもたらす。我々は、シンチレーティング共役配位子としてジカルボキシ-9,10-ジフェニルアントラセンを組み込んだハフニウム系MOFが、ガス状放射性核種を検出できることを実証する。金属有機構造体は、高速シンチレーション(蛍光収率約40%)と、希ガス原子や希ガスイオンを受け入れるのに適した多孔性を示している。時間コインシデンス技術に基づく新開発のデバイスを通して、85Kr、222Rn、3H放射性核種の吸着と検出が調べられている。金属有機構造体結晶粉末によって感度の向上が実証され、85Krについて市販のデバイスをしのぐ1 kBq m−3未満の放射能値まで線形応答が示された。今回の結果は、シンチレーティング多孔性MOFを使って、天然や人為的起源の放射性核種の高感度検出器を作製できる可能性を裏付けている。