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薄膜ニオブ酸リチウム上の集積型電気光学アイソレーター
Nature Photonics 17, 8 doi: 10.1038/s41566-023-01227-8
光アイソレーターは、ほぼ全ての光学システムに欠かせない部品であり、位相安定コヒーレント動作のために不要な反射からレーザーを保護するのに用いられる。同一チップに集積された半導体レーザーで駆動されるチップスケールの光学システムの出現によって、完全集積型光アイソレーターの需要が生まれている。磁気光学材料の使用に頼ってローレンツ相反性を破る従来の方法には、材料集積化の観点から大きな課題がある。磁気を用いない代替法が探求されているが、モノリシック材料プラットフォームにおける低挿入損失、高アイソレーション比、広帯域幅、低電力消費の集積型アイソレーターはまだ実現されていない。今回我々は、薄膜ニオブ酸リチウム上に、非相反的な進行波に基づく電気光学アイソレーターを実現している。このアイソレーターは、オンチップ挿入損失0.5 dBで48.0 dBの最大光アイソレーションを可能にし、21 dBmの単一周波数マイクロ波駆動出力を用いている。アイソレーション比は、1510から1630 nmの調整可能な光波長領域にわたって、37 dB以上を維持している。我々は、レーザーのシングルモード動作と線幅を反射からうまく保護するハイブリッド分布帰還型レーザー–ニオブ酸リチウムアイソレーターモジュールを実現した。今回の結果は、チップ上の実用的な高性能光アイソレーターへの重要な一歩である。