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C(NH2)3BF4における高効率非線形光周波数変換のための全波長位相整合の実現

Nature Photonics 17, 8 doi: 10.1038/s41566-023-01228-7

光波の位相整合は、非線形光学結晶において非線形周波数変換過程の効率を最大化するのに極めて重要な条件である。しかし、位相整合は、一般的に複屈折を調整することによって実現され、広い波長領域にわたって実現することは困難である場合が多い。今回我々は、光透過領域全体にわたって位相不整合を回避できる全波長位相整合結晶を提示する。エネルギーの次元における異方性結合強度が全波長位相整合能のカギであることが、理論的に確認されている。我々は、テトラフルオロホウ酸グアニジン(C(NH2)3BF4)の結晶が光透過領域全体にわたって位相整合可能であることと、深紫外カットオフ端に近い約193.2 nmという短い高調波光を生成できることを実証する。重要なのは、266 nm光を生成する市販の非線形光学結晶と比べて、この結晶が安定かつ安価で効率が高いことである。今回の研究によって、位相整合波長が光透過領域を完全にカバーする新種の結晶を発見するための基礎が築かれるとともに、266 nmの光(市販の1064 nmレーザーの第四高調波)を生み出す高性能結晶が得られる。

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