Article
位相コヒーレント光パルスで駆動されるカー共振器における超短散逸ラマンソリトン
Nature Photonics 18, 1 doi: 10.1038/s41566-023-01303-z
パッシブ非線形光共振器の外部駆動は、この10年で、超短光パルスや対応する広帯域周波数コムを生成する新しい手段として浮上してきた。そうしたシステムにおけるパルス形成ダイナミクスは、従来のモードロックレーザーに現れるダイナミクスと大きく異なっているが、最近、2つの従来別個だったパラダイムの境界が不明瞭になり始めており、外部駆動と活性媒質の両方を組み込んだハイブリッドシステムの実証によって、特定の利点が得られることが示されている。今回我々は、外部駆動パッシブ共振器とレーザーの境界において超短パルスを生成する新しい方法を調べた。我々は、溶融シリカに固有の非線形ラマン利得を利用することによって、標準的な市販の光ファイバーでできた共振器の位相コヒーレントなパルス駆動を通して、持続時間が100 fsを大きく下回る低ノイズ散逸ソリトンの決定論的生成を実現した。我々は、この新しい散逸ラマンソリトン状態の物理を調べて説明し、パルスの特性を支配するとともにソリトンの持続時間に影響を及ぼさずに出力の繰り返し率の自在なスケーリングを可能にするスケーリング則を特定した。今回調べたスキームは、我々の知る限りでは、単一の市販の光ファイバーでできた共振器(アクティブまたはパッシブ)で生成したパルスの中で最も短いパルスを可能にし、既存の分散操作されたシリカマイクロ共振器を用いることによってチップスケール形式に移行できる可能性がある。