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プラズマに基づく準粒子加速器によるコヒーレンスと超放射
Nature Photonics 18, 1 doi: 10.1038/s41566-023-01311-z
自由電子レーザーなどのコヒーレント光源から、生物学、化学、物理学の研究向けの高輝度ビームが得られる。しかし、こうした光源の輝度を高めるには、次第に装置を大型化する必要があり、スタンフォードの線形加速器コヒーレント光源(Linac Coherent Light Source)などの最大規模の例では、長さが数キロメートルになっている。この拡大傾向を克服して、小型の高輝度光源が大学、病院、産業研究所で利用できるようになれば、変革がもたらされると思われる。今回我々は、放射線物理学の基本原理を見直すことによって、この問題に取り組んだ。今回の研究の中核にあるのは、光放出電荷のアンサンブルの集団的な巨視的運動に頼って、単一電荷なら物理学的に不可能と思われるような形で発展し放射する、準粒子に基づく光源を導入したことである。この基礎的コンセプトによって、プラズマ加速器などの新しい構成において、時間的コヒーレンスと超放射が可能になり、テラヘルツから極端紫外まで波長約10オクターブにわたって興味深い特性と明確な実験的特徴を示す放射が得られた。今回の準粒子による方法は、単純であるため、既存のレーザー施設や加速器施設における実験的実証に適しており、今回の事例の枠を大きく超えて、非線形光学構成など他のシナリオにも拡張される。