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連続体における熱的に非線形な準束縛状態に基づく受動的バイアスフリー非相反メタサーフェス
Nature Photonics 18, 1 doi: 10.1038/s41566-023-01333-7
反対の方向に異なる効率で光が伝送される非相反デバイスは、現代のフォトニクス応用の主要技術であるが、その高密度かつ小型の実装は未解決の課題である。さまざまな方式の中で、非線形性によって誘起される非相反性は、外部バイアスがなく、従来の材料プラットフォーム内で容易に集積できるため、かなり注目されている。これまでのところ、非線形性誘起非相反性が実証されているのは、高Q値共振器を用いた導波プラットフォームだけである。今回我々は、シリコンの熱光学的非線形性に基づく自由空間放射について、非相反応答が大きい極薄光メタサーフェスを実証する。今回のメタサーフェスは、非相反性を得るのに必要な面外非対称性と、連続体における準束縛状態の放射線幅を微調整する面内対称性の破れを兼ね備えている。入射平均強度が3 kW cm−2未満の場合、連続体における準束縛状態が関与する3次の熱光学的非線形性によって、10 dBを超える非相反的伝送と3 dB未満の挿入損失が可能になることが示された。数値計算によって、非相反的応答の蓄積時間と緩和時間はサブマイクロ秒スケールに近づく可能性があり、熱散逸によってのみ制限されることが示唆された。今回実証したデバイスは、非相反性の分野と極薄メタサーフェス技術を融合させるもので、信号処理やルーティング、通信、高出力レーザー共振器の保護のためにエキサイティングな機能をもたらす。