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銅–ヨウ化物クラスターに基づく高効率温白色発光ダイオード
Nature Photonics 18, 2 doi: 10.1038/s41566-023-01340-8
溶液プロセスで作製した、銅–ヨウ化物クラスターに基づく発光ダイオード(LED)は、存在量が豊富で、環境に優しく、発光効率が高いため、固体照明の有望な候補である。しかし、この種のLEDの開発は、クラスターの不安定性、溶液との適合性の低さ、膜品質の低さによって阻まれ、デバイス性能が低くなっている。今回我々は、クラスターの溶解性と安定性を向上させる官能基を持つ新しいタイプの銅–ヨウ化物クラスターハイブリッドについて報告する。このハイブリッドクラスターは、溶媒中で高い構造安定性を示し、表面粗さが0.22 nmと小さく、フォトルミネッセンス量子収率が70%超と高い平滑薄膜の、溶液プロセスによる作製が可能になる。我々は、この高品質薄膜を温白色LEDの発光層として用いて、19.1%の最大外部量子効率、4万 cd m−2を超える高い最大輝度、232時間という良好な動作寿命(初期輝度100 cd m−2のときのT50)を示す。また我々は、ブレードコーティングによって作製した、輝度が最高で約6万 cd m−2の大面積LEDを実証するとともに、配位子の変更に基づく一連の色調可変LEDも実証した。今回の結果は、パネルディスプレイや固体照明において銅–ヨウ化物クラスター系LEDを実用化できる大きな可能性を示唆している。