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輝度が高く安定した近赤外鉛フリーペロブスカイト発光ダイオード
Nature Photonics 18, 2 doi: 10.1038/s41566-023-01351-5
ピーク発光波長が900 nmを超える長波長近赤外発光ダイオード(NIR LED)は、暗視、バイオメディカルイメージング、センシング、光通信を含むさまざまな応用に極めて重要である。しかし、ソフトマテリアルに基づく最先端の長波長NIR LEDの放射輝度と動作安定性の低さが、依然として実用化を制限する最も重要な要因となっている。今回我々は、スズリッチ条件下においてペロブスカイト前駆体の結晶化過程を遅らせ制御することによって、オール無機スズペロブスカイト(CsSnI3)のpドーピングの合理的な操作を通して性能を高めた発光波長が900 nmを超えるNIR LEDを開発した。作製したNIR LEDは、948 nmのピーク発光波長、226 W sr−1 m−2という高い放射輝度、100 mA cm−2という高い定電流密度で39.5時間という長い輝度半減寿命(operational half-lifetime)を示している。今回の高電流密度で動作する安定した高効率NIR LEDの実証結果は、電気励起レーザーに向けて新たな機会を開く可能性もある。