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原子スケールの構造解析のための固体量子マルチセンサーシステムを用いた相関センシング

Nature Photonics 18, 3 doi: 10.1038/s41566-023-01352-4

超高精度測定から複雑な構造解析まで、優れた量子センシング戦略を開発することは、量子技術の中核である。センサー間のエンタングルメントなどの量子リソースを用いてセンシング精度を高める戦略が数多く実証されているが、量子センサー間の信号相関は、ほとんど利用されていない。今回我々は、複数の量子センサー間の信号相関を利用して、複数ターゲットからの重なり合った信号を分解する新しいセンシングパラダイムを開発した。こうした信号の分解は、個々のセンサーでは不可能であり、複雑な構造構築技術でも困難である。我々は、量子電位計システムとして3つの窒素空孔中心を用いて、アンサンブル信号から個々の欠陥の変動電場を分解することによって、このマルチセンサーパラダイムを実証している。我々は、GPSに似た位置特定方法で、ダイヤモンドにおける16の暗電子点欠陥の三次元分布を1.7 nmに近い精度で画像化した。さらに我々は、個々の点欠陥の実時間電荷ダイナミクスを取得し、そのダイナミクスが、よく知られた光スペクトル拡散を誘起する様子を可視化した。今回のマルチセンサーパラダイムによって、量子センシングのツールボックスが拡張され、新たな構造解析の可能性が得られる。

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