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固体共振器量子電磁力学における動的共鳴蛍光
Nature Photonics 18, 4 doi: 10.1038/s41566-023-01359-x
二準位系と電磁場のコヒーレントな相互作用は、基礎量子物理学や現代フォトニック量子技術の基盤となっている。その顕著な例が、共鳴レーザーによって二準位系を連続的に駆動すると非古典的光子放出がMollow三重項の形で現れる共鳴蛍光である。短い光パルスを用いて共鳴蛍光を静的領域から動的領域に移行させることによって、オンデマンドで高コヒーレントな単一光子の放出が起こる。動的領域における駆動強度をさらに高めれば、光子数重ね合わせ状態、光子数エンタングルメント状態、光子束状態におけるエキゾチックな非古典的光放出の追求が可能になる。しかし、強い駆動強度の下での動的共鳴蛍光の特徴である、Mollow三重項を超える長年探し求められてきたスペクトルは、まだ観測されていない。今回我々は、固体共振器量子電磁力学系におけるMollow三重項を超える動的共鳴蛍光スペクトルを直接観測し系統的に調べたこと報告する。最大で5対のサイドピーク、励起復調誘起スペクトル非対称性、共振器フィルタリング効果を伴う動的共鳴蛍光スペクトルが観測され、フォノン散乱を組み込んだ完全量子モデルによって定量的にモデル化された。さらに、時間分解測定によって、複数のサイドピークが、異なる時間的位置の励起パルスに伴う発光の干渉に由来することが明らかになった。今回の研究結果は、二準位系の動的駆動を用いて、さまざまなエキゾチックな光の量子状態の生成を促すものである。