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単一磁束量子回路から室温へのフォトニックリンク

Nature Photonics 18, 4 doi: 10.1038/s41566-023-01370-2

極低温環境と室温環境の間の広帯域かつエネルギー効率の高い信号伝送は、超伝導量子回路と古典的論理回路の主なボトルネックとなっている。フォトニックリンクは、高帯域幅と低熱負荷を同時にもたらすことによって、この課題を克服すると期待されている。しかし、電気信号の光読み出しのための主要構成要素である極低温電気光学変調器の開発は、超伝導回路の厳しい要件によって遅れている。例えば、高速単一磁束量子回路は、従来の回路に用いられるボルトレベルの信号よりはるかに低いわずか数ミリボルトという微小信号振幅で動作する。今回我々は、長さ1 mの超伝導電気光学変調器で記録的に低い42 mVという半波長電圧Vπを特徴とする、新しい超伝導電気光学変調器によって可能になった、追加的な電気増幅のない高速単一磁束量子回路の初の直接光読み出しの1つを実証する。我々は、超伝導体の低いオーム損失を利用して、基本的なVπと帯域幅のトレードオフを打ち破り、極低温において長さ0.2 mの超伝導電気光学変調器で最高17 GHzの電気光学帯域幅を実証している。今回の研究によって、将来の大規模超伝導回路と室温電子機器の間の高帯域幅信号伝送に向けた実行可能な解決策が提示された。

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