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二次元電子の化学ポテンシャルの光学的読み出し

Nature Photonics 18, 4 doi: 10.1038/s41566-024-01377-3

電子系の化学ポテンシャル(μ)は、固体の基本的特性である。μの精密測定は、物質の電子相互作用や量子状態を理解するのに重要な役割を果たしている。しかし、マイクロスケールやナノスケールの試料の熱力学測定は、試料体積が小さくバックグラウンド信号が大きいため困難である。今回我々は、任意の二次元物質のμの光学的読み出し方法について報告する。単層半導体センサーは、試料と容量結合している。センサーの光学応答がバイアスを決定し、バイアスがその化学ポテンシャルをバンド端に固定し、試料のμ値を直接示す。我々は、AB積層MoTe2/WSe2モアレ2層系において、この手法を実証する。我々は、約20 μeV Hz–1/2のDC感度でμ値を、AC読み出しを用いて圧縮率と層間電気分極を得た。結果から、モアレ単位格子当たり正孔1個のドーピング密度における相関絶縁状態が明らかになり、面外電場を増大させるとモット絶縁体から電荷移動絶縁体に変化することが示された。さらに我々は、μを画像化し、試料の空間的不均一性を定量化した。今回の研究によって、二次元量子物質の熱力学特性の高空間分解能測定と高時間分解能測定への道が開かれる。

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