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単一タンパク質光学ホログラフィー
Nature Photonics 18, 4 doi: 10.1038/s41566-024-01405-2
ナノスケール物体による光散乱は、散乱断面積ひいては分極率によって規定される基本物理特性である。この10年間、多くの研究において、対象物体による散乱と参照場の干渉をイメージングすることによって単一分子感度が実証されてきた。このアプローチは、分子分極率と画像コントラストの線形スケーリングによって、溶液中の単一生体分子の質量測定を可能にしている。しかし、これまでの実施は全てコモンパス干渉計に基づいており、参照光場と散乱光場を分離し、独立して調整することができないため、ホログラフィックイメージングに利用できる豊かなツールボックスへのアクセスが阻まれている。今回我々は、Mach–Zehnder干渉計に類似した、暗視野散乱顕微鏡に基づく非コモンパス構造を用いて、同等の感度を実証する。我々は、散乱光と参照光を、4つの本質的に位相安定な並行検出チャネルに分離し、散乱断面積の観点から最先端のホログラフィック法よりも感度を5桁向上させた。我々は、質量100 kDa未満の単一タンパク質の検出、解像、質量測定を実証した。また、振幅と位相を別々に測定することによって、試料の識別に関する直接的な情報が得られ、単一生体分子の分極率が実験的に決定された。