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共振器増強デュアルコム分光法
Nature Photonics 4, 1 doi: 10.1038/nphoton.2009.217
分子フィンガープリンティングの感度は、吸収試料を高フィネス光共振器に入れると、実効光路長が長くなるため、劇的に向上する。レーザー周波数コムからの等距離線を、広いスペクトル領域にわたって同時に共振器に注入すれば、数ミリ秒以内に複数の微量ガスを特定できるかもしれない。しかし、共振器を通して伝わった光を効率よく分析することは、依然として困難である。今回、共振器増強周波数コムフーリエ変換分光法という新しい方法によって、この困難が完全に克服され、検出器アレイを必要とせずに、数十マイクロ秒以内での超高感度広帯域幅高分解能スペクトル測定が可能になった。この方法で、テラヘルツから紫外までの領域を測定できる可能性がある。我々は、1,500のスペクトル要素からなり20 nmにわたるアンモニアの1.0 µm倍音帯のスペクトルを、わずか18 µs以内に4.5 GHzの分解能と1 s平均で1 × 10−10 cm−1 Hz−1/2の雑音等価吸収で記録した。このように、今回の結果は、急速に変化する単一事象の時間分解分光測定への道を開くものである。