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反強磁性スピン波のコヒーレントテラヘルツ制御

Nature Photonics 5, 1 doi: 10.1038/nphoton.2010.259

電磁スペクトルの利用しにくいテラヘルツ領域における電荷とスピンの超高速励起は、凝縮物質分野において極めて重要な役割を担っている。自由空間テラヘルツパルスの電場によって、フェムト秒の時間スケールで電荷運動を操作する直接的手段が得られている。今回我々は、高強度テラヘルツ・トランジェントの磁場成分によってスピン自由度の超高速制御が可能になることを示し、この過程を補完している。単一サイクルのテラヘルツパルスは、1 THzという高い周波数で、反強磁性NiOにおけるコヒーレントスピン波をオン・オフする。持続時間8 fsの光プローブパルスによって、時間領域でテラヘルツ誘起磁気ダイナミクスを直接追跡し、テラヘルツ場がゼーマン相互作用によってスピンを選択的にアドレスすることを確認している。このコンセプトによって、これまで困難だった電子基底状態における磁気励起の汎用的な超高速制御法が得られる。

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