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全く未知の光位相のエンタングルメント増強測定
Nature Photonics 5, 1 doi: 10.1038/nphoton.2010.268
精密な干渉計測は、多くの科学的技術的な応用に不可欠である。量子エンタングルメントを利用すると、ショット雑音限界(SNL)を上回る干渉計測感度が可能になる。これまで、エンタングルメント増強サブSNL干渉法を実証する実験や、ほとんどの理論的取り扱いでは、信号対雑音比を高めることが目標となっていた。この目標は、既知の位相のわずかな変動を検出する位相センシングには適している。しかし、区間[0, 2π)内の初めは全く未知の位相の自己完結型測定を行うab initio位相推定には十分ではない。どちらのタスクも重要であるが、これらは等価ではない。センシング領域からab initio推定領域に移行するには、非自明な位相推定アルゴリズムが必要である。今回我々は、ポストセレクション法によって得られた利用可能なもつれ光子状態を利用した「ボトムアップ式」アプローチを実施している。これによって、エンタングルメント増強光干渉法による未知位相のサブSNL ab initio推定の実証が可能となる。