Article

ナノ集束プラズモニックSERS構造体への分子の超撥水送達で拡散限界を破る

Nature Photonics 5, 11 doi: 10.1038/nphoton.2011.222

高希釈溶液中の数個の分子を検出することは、危険な希少化学物質に関係する生物医学、安全、環境汚染などの分野においてきわめて興味深い。この観点で、プラズモニクスを利用したナノセンサーは、高感度、無標識検出、小型化を実現できるという特徴を兼ね備えているため有望なデバイスである。しかし、プラズモニクスを利用したナノセンサーは、ナノメートルスケールの感度領域を持つ通常のセンサーと同様に、フェムトモル濃度やアトモル濃度の溶液中に溶解している分子の検出に直接使用することができない。つまり、拡散律速であるため、そのような濃度では、検出時間が非現実的になってしまう。本論文では、人工的な超撥水表面とナノプラズモニック構造体を組み合わせることによって、アトモル(10−18 mol l−1)濃度であっても数個の分子を局在化させて検出できることを実証する。さらに、蛍光分光法やラマン分光法と組み合わせて検出が可能なので、分子の化学的特徴をはっきり確認できる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度