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カーボンナノチューブにおける高効率光起電圧増倍
Nature Photonics 5, 11 doi: 10.1038/nphoton.2011.250
カーボンナノチューブは直接遷移材料であり、ナノエレクトロニクスの用途に役立つばかりでなく、次世代の光起電力技術に大きな影響を及ぼす可能性がある。半導体単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は特異なバンド構造を持ち、その結果として、高効率キャリア増倍効果が予測され観測されている。また、100%に近い吸収を示すSWCNT膜も報告されている。光起電力用途に重要なそのほかの特徴として、移動度が高いことや、電子とホールの両者についてオーミック接触を得やすいことが挙げられる。しかし、一般的な半導体SWCNTが発生する光起電圧は、0.2 V未満であり、ほとんどの実用的な光起電力用途には小さすぎる。今回我々は、カーボンナノチューブにおける仮想接点を利用することによって、この値を容易に増倍できることを示す。一例では、長さ10 μmのカーボンナノチューブから1.0 V以上の光起電圧が発生し、単セルの光起電圧は約0.2 Vである。