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クラスター状態モデルを超える実験測定に基づく量子計算
Nature Photonics 5, 2 doi: 10.1038/nphoton.2010.283
測定に基づく量子計算のパラダイムによって、量子コンピューターの実現への新しい実験的な道が開かれるとともに、量子物理の理解が深まる。測定に基づく量子計算は、高度にもつれた普遍的なリソース状態に端を発する。長年にわたって、クラスター状態は唯一既知の普遍的リソースであった。意外なことに、新しい枠組み、すなわち相関空間における量子計算によって、クラスター状態とは異なる、もつれ特性を持つ量子状態を利用する測定に基づく量子計算の実現への新しい道が開かれた。今回我々は、そのようなモデルの各構成ブロックの実験的実証について報告する。クラスター状態のカテゴリーに入らない4量子ビット状態と6量子ビット状態を用いて、普遍的な一連の単一量子ビット回転、2量子ビットもつれゲート、Deutschアルゴリズムを実現した。我々の実験結果は、基本的に興味深いばかりでなく、原理的には、クラスター状態を用いずに普遍的な測定に基づく量子計算を実現できる可能性を立証しており、量子コンピューターの実現に向けての新しいアプローチを示している。