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転写により作成したフルカラー量子ドットディスプレー
Nature Photonics 5, 3 doi: 10.1038/nphoton.2011.12
量子ドット発光団を使った発光ダイオードは次世代ディスプレーの開発において有望であるが、それは量子ドット発光団が、高い量子収率、きわめて狭い発光、スペクトル可変性、高い安定性などの有用な特性を示すためである。しかし、従来の方法ではサイズ選択的な量子ドットのパターン形成が不可能なため、フルカラーの量子ドットディスプレーは実現されていない。本論文では、大面積フルカラー量子ドットディスプレーを初めて実証した結果を、そのフレキシブルな形状、最適化した量子ドット膜の利用、ナノ界面とキャリア挙動の制御を含め、報告する。印刷した量子ドット膜は、優れた形態、規則正しい量子ドット構造、明確に定まった界面を示す。これらの特性は、溶剤を使わない量子ドット膜の転写と量子ドットネットワークのコンパクトな構造を通して実現された。量子ドット層の電荷輸送と電荷均衡が著しく増強されたため、エレクトロルミネセンス性能が改善された。さらに発光効率を高めるため、プラズモン結合を使う方法も提案している。以上の結果から、ディスプレー、固体照明、光起電力技術において大規模な光電子デバイスを製作する方法が示唆される。