Letter
光周波数における負屈折率物質中の逆ドップラー効果の観測
Nature Photonics 5, 4 doi: 10.1038/nphoton.2011.17
ドップラー効果は、波源と観測者が相対的に動いているときに起こる基本的な周波数シフト現象である。天体光学や生物学的診断、気象や航空機用のレーダーシステム、速度計測や振動計測の分野での応用は確立されている。1968年、直観に反する逆ドップラー効果が負屈折率物質中で起こることが、Veselagoによって理論的に予測された。しかし、そのような物質内での周波数シフトの測定が著しく困難であることから、逆ドップラー効果のほとんどの研究は、理論予測と数値シミュレーションに限られていた。非線形伝送線(約1~2 GHz)と音響媒質(1~3 kHz)で、間接的な実験的測定が行われたにすぎない。今回我々は、負屈折率物質の特性を持つフォトニック結晶プリズムでレーザービームを屈折させることによって、光周波数(λ = 10.6 µm)において逆ドップラーシフトを初めて実験的に観測したことを報告する。