Letter
ネマチック物質のぜん動マイクロ流を利用した光流体変調器
Nature Photonics 5, 4 doi: 10.1038/nphoton.2011.18
ネマチック物質は外部場を印加することによって回転するため、それによって光変調が可能になる。この原理は、私たちの周囲で多く使用されている液晶ディスプレイを通して、日常生活に多大な影響を与えてきた。しかし、特に超小型ディスプレイや情報処理においてネマチック液晶の利用を拡大することは、応答時間が遅いため妨げられてきた。ネマチック物質では、分子の回転運動と並進運動が結合しているため、流れと光変調は必然的に関連している。この関連性が動機となって、我々は、マイクロ流体工学と異方性液晶を融合させ、サブミリ秒(250 µs)の対称応答を示し最高周波数1 kHzで動作可能な光流体変調器を報告する。この変調器は、ポリジメチルシロキサン・マイクロ流体系において実現したネマチック物質のぜん動マイクロ流を利用している。また、弾性変形によるぜん動、ネマチック物質の配向、鋳型成形によるラピッドプロトタイピングが同時に可能となる。大規模垂直集積や圧電ナノテクノロジーとあわせて、今回の光流体方式によって、三次元構造の高密度高速変調器を実現できる。