Letter
広帯域X線源を用いたレンズレス・イメージング
Nature Photonics 5, 7 doi: 10.1038/nphoton.2011.125
ゾーンプレートなどの光学素子を用いた高分解能X線イメージング技術は、試料の内部構造を極めて詳細に観察するために広く利用されている。達成可能な分解能は、最終的には光学素子の製造公差によって制限される。結晶学とホログラフィーの考えを組み合わせれば、コヒーレント回折イメージング法(CDI)によって、この限界を超えることができるかもしれない。CDIは、X線自由電子レーザー関連の用途に特に有望であるが、第3世代のシンクロトロンにおけるイメージング向けの重要な新技術としても頭角を現しつつある。しかし、これらのX線源のコヒーレント出力が限られていることが、露光時間を短くするうえで大きな障害となっている。コヒーレント回折イメージングの基本的前提は、入射光が単一光周波数に十分近いことである。本論文では、広帯域X線源を用いて「ポリCDI」を初めて実験的に実現し、露光時間を準単色コヒーレント回折イメージングの60分の1にできたことを示す。