Letter

自己停止型回折ゲートによるフェムト秒X線ナノ結晶測定

Nature Photonics 6, 1 doi: 10.1038/nphoton.2011.297

小さすぎたり放射線に敏感すぎたりするため従来型の解析ができないタンパク質結晶の新しい構造決定方法が、X線自由電子レーザーによって可能になった。十分短いパルスであれば、 試料に著しい変化が起こる前に回折データが収集されるが、原子分解能の構造情報を得るには、10 fsほどの短いパルスが必要となる可能性があると予測されている。今回我々は、高い放射線量を利用して結晶試料から構造情報を収集でき、試料の損傷が始まる前にパルスを止める必要がない超高速超高強度X線実験に特有の機構について説明する。結晶の周期性が高速で失われることによって回折X線が生成されなくなるため、見かけのパルス長は入射パルスの持続時間より著しく短くなる。最も短い見かけのパルス長は最高分解能のときに得られる。我々の測定結果は、現在のX線自由電子レーザー技術によって原子分解能でサブマイクロメートルのタンパク質結晶の構造決定ができるはずであることを示している。

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