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フェムト秒レーザーによる緑色蛍光タンパク質からの細胞光の操作
Nature Photonics 6, 10 doi: 10.1038/nphoton.2012.207
緑色蛍光タンパク質(GFP)は生物化学と細胞生物学において最も幅広く研究され、利用されているタンパク質の1つである。これは、光励起に続いて蛍光を放出し、光励起はレーザーによって行われることが多い。今回我々は、細胞をレーザー光に暴露すると、改変型GFPからの蛍光が 「止まる」ことを報告する。フェムト秒レーザー光の短いフラッシュによって、細胞小胞体中のカルシウム濃度が低下することが示されている。次に、カルシウムの放出によって活性化されるカルシウムチャネルが、間質相互作用分子1(STIM1)により活性化される。細胞内のCa2+濃度が上昇すると、ミトコンドリアが脱分極し、活性酸素種の漏れが増大して、GFPが永久に漂白される。活性酸素種を発生するこの制御可能な光学方式を用いて、GFP蛍光の光変換を緑色発光から赤色発光へ変えることもでき、細胞の分子動力学に影響を及ぼす機構が得られる。