Letter
GaAsのX線ポンプ光プローブ相互相関の研究
Nature Photonics 6, 2 doi: 10.1038/nphoton.2011.327
原子系、分子系、凝縮物質系の超高速ダイナミクスは、サブピコ秒のレーザーパルスによってこれらの系を励起し、X線によって吸収スペクトルと局所原子構造の変化を検出する光ポンプX線プローブ法を使って研究されることが多くなっている。シンクロトロンの性能が向上し、X線自由電子レーザーが出現した結果、新たな研究の機会が生まれている。このような光源の改良によって、逆の測定、すなわち、 X線ポンプ後に光プローブが続く測定も可能となっている。今回我々は、レーザーの光子エネルギーがバンドギャップより少し大きい時、X線ポンプビームによってどのように薄いGaAs試料が強い吸収体からほぼ透明な窓へと100 ps以内に変わるのかについて述べる。光子エネルギーがバンドギャップより少し小さい時は、それと反対の効果、すなわち、X線によって光学的な不透明性が生じることを見いだしている。このことから、X線吸収に対する半導体の超高速多体応答に関していくつか興味深い課題が提起され、シンクロトロンやX線自由電子レーザーに応用するX線/光相互相関器の新しい方法が得られる。