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ダイヤモンドを用いた室温動作する電流注入型単一光子発生源
Nature Photonics 6, 5 doi: 10.1038/nphoton.2012.75
オンデマンドで非古典的な光状態を生成する単一光子源は、量子通信、量子計算、計測において幅広い用途がある。単一光子発光は、単一の原子、イオン、分子、ダイヤモンド色中心および半導体量子ドットを用いて実証されてきた。最近、半導体量子ドットの分野において高効率光源やもつれ光子源に著しい進歩が見られた。しかし、キャリアを閉じ込める必要があるため極低温が要求されることが大きな障害となっている。今回我々は、新しいダイヤモンドダイオード構造体において、単一の中性窒素空孔中心を用いて室温で電気的に動作する安定な単一光子源を実現したことを示す。注目すべきことは、エレクトロルミネッセンスの発生は、バンドギャップ内励起が起こるフォトルミネッセンスと根本的に異なる動力学に従うことである。このことは、エレクトロルミネッセンスが欠陥での電子-正孔再結合によって発生することを示唆している。我々の結果は、機能的な単一欠陥を電子制御構造体に組み込めることを立証するものであり、精巧な量子情報デバイスの実現に向けてのきわめて重要な一歩となる。