Letter

共鳴非線形性を利用した半導体レーザーにおける全光波長シフト

Nature Photonics 6, 8 doi: 10.1038/nphoton.2012.157

未来の超高速全光ネットワークを実現するには、通信チャネルを直接操作して光ファイバーの帯域幅(50 THz)にわたって波長をシフトできる新しい光学デバイスが必要である。非線形過程に基づく解決策が提案されているが、非線形感受率が低いため低い効率しか得られなかった。今回我々は、テラヘルツ量子カスケードレーザー内での共鳴非線形過程を用いた近赤外ビームの全光波長変換を実証する。この過程は、量子カスケードレーザーのバンド間遷移と共鳴する低出力連続波近赤外ビームの注入を利用している。これにより非線形性が強くなるので、差周波数と和周波数を効率よく発生させることができ、量子カスケードレーザーの周波数だけ近赤外ビームの周波数がシフトする。0.13%の効率が実証されたが、これは自由電子レーザーで得られる値と同等である。本研究は、超高速波長シフトへの応用に大きな影響を与えるだけでなく、テラヘルツ放射を近赤外に効率よくアップコンバートする可能性を開き、量子カスケードレーザーを用いた量子構造体と高テラヘルツ光場の相互作用の研究を可能にするものである。

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