Letter
量子版ホイーラーの遅延選択実験の実現
Nature Photonics 6, 9 doi: 10.1038/nphoton.2012.179
ボーアの相補性原理によると、光は検出器の種類に依存する波動と粒子の二重性を示すと考えられ、このことは古典的検出器を用いた「遅延選択実験」によって実証された。最近提唱された説によると、検出器は量子状態を占めることもでき、量子版の遅延選択実験を行うことができる。今回我々は、この量子遅延選択実験を実験的に実現し、単一光子の波動・粒子モーフィング現象を観測した。さらに我々は、単一光子の波動・粒子量子重ね合わせ状態のふるまいを初めて説明している。この波動・粒子量子重ね合わせ状態が波動状態と粒子状態の量子干渉を示すため、古典的な混合状態とは異なることが見いだされた。今回の結果は、相補性原理と重ね合わせ原理の深い関係を明らかにするものであり、光のふるまいの理解を深めるのに役立つ可能性がある。