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アンダーソン局在領域でのマルチモードランダムレーザーにおける相互作用の抑制
Nature Photonics 7, 1 doi: 10.1038/nphoton.2012.298
ランダムレーザー発振を理解することは、厄介な理論的課題である。従来のレーザーと異なりランダムレーザーは、光を捕捉する共振器を持たず、モード相互作用が潜在的に強い高度なマルチモードであり、光子がランダム多重散乱を起こす不規則利得媒質を利用している。そうしたランダム媒質中での波の伝搬が干渉効果によって変わることはよく知られているが、非線形性と相互作用が存在する場合に最終的にどうなるかはほとんど分かっていない。今回我々は、強散乱領域におけるマルチモードランダムレーザー発振に関する半古典的理論を提示する。我々は、波の干渉効果であるアンダーソン局在が、非線形性の存在の影響を受けないことを示す。逆に、その存在が同時レーザー発振モード間の相互作用を抑制する。結果として、強散乱ランダムレーザーにおける各レーザー発振モードは、受動共振器の単一の長寿命アンダーソン局在モードによって与えられる。その周波数と波形は、モードが空間的に重なるマルチモード領域であっても、ポンピングによって変化しない。