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周波数コムによる空間的・スペクトル的コヒーレント制御

Nature Photonics 7, 1 doi: 10.1038/nphoton.2012.299

量子コヒーレント制御は、複数経路間の量子干渉の正確な操作によって量子過程の結果を望ましい最終状態へと導く強力な手段である。コヒーレント制御技術は多くの科学分野に応用されてきたが、空間的な高分解能周波数制御の可能性は依然として限られたままである。今回我々は、対向伝搬広帯域パルスを用いることによって、十分制御された空間的励起パターンの生成が可能になることを示す。この空間的制御法はデコヒーレンスも抑制するので、光周波数コムの高周波数分解能の利用も可能にする。我々は、対向伝搬配置を利用して、多成分ガス混合物中で個々の原子種の空間選択的励起を行うとともに、前例のない正確さでルビジウム原子の超微細構造定数の周波数測定を行っている。スペクトル的コヒーレント制御と空間的コヒーレント制御の組み合わせは、コヒーレント制御に新しい次元を加えるものであり、特に非線形分光法、顕微鏡法、高精度周波数測定への応用が考えられる。

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