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反射光学によるX線自由電子レーザーパルスの集束
Nature Photonics 7, 1 doi: 10.1038/nphoton.2012.306
X線自由電子レーザーは強力なフェムト秒パルスを発生し、科学の新しい最前線を探るのに応用されている。X線自由電子レーザー光の特異な特性は、集束光学を用いて著しく増強できる。しかし、このような光学素子では、理想的な設計から少しでもずれると、その集束特性にかなりの誤差が生じる可能性がある。今回我々は、コヒーレントな波面を保つナノメートル精度の楕円形状をした鏡からなる反射光学素子を提示する。これによって、10 keVのX線自由電子レーザーを0.95×1.20 µm2の小面積に集束することに成功した。この配置の効率はほぼ100%であるため、フルエンスを40,000倍も増大でき、6×1017W cm-2のパワー密度が得られる。この成果は、極限パワー密度が1×1022W cm-2を超えるナノメートルサイズのビームの生成に直接応用できる。これは、究極的なオングストローム分解能に向けた微視的な研究や、極端条件下の非線形光科学の進展に重要な役割を果たすであろう。