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曲線因子を向上させたポリマー太陽電池
Nature Photonics 7, 10 doi: 10.1038/nphoton.2013.207
最近のポリマー太陽電池(PSC)の性能向上は、最高被占分子軌道を下げて開回路電圧を高めた一方で、バンドギャップを縮めて短絡回路電流を増やしたことに由来している。それにもかかわらず、PSCの電力変換効率は、依然として低い曲線因子による制約を受けており、一般的に70%以下である。今回我々は、相補的な材料の設計、合成、処理と、デバイス工学戦略を組み合わせることによって、曲線因子が並はずれて高いPSCを実現したことを報告する。ドナーポリマーのPTPD3TとPBTI3Tを、PC71BMアクセプターとともに逆バルクヘテロ接合PSCに導入すると、曲線因子76~80%のPSCが得られる。この性能向上は、高い秩序を持ち、密に充填され、適切に配向し、最適な水平方向相分離と垂直方向相グラデーションを示す活性層の微細構造に起因する。結果として、高効率の電荷抽出と、バルクや界面での2分子再結合の抑制が起こる。こうした高い曲線因子によって、最適でないバンドギャップのポリマーでも最高8.7%の電力変換効率が実現されている。このことは、バンドギャップを調節することによって、10%を超える効率を実現できるはずであることを示唆している。